交通事故

 

(1)ある日突然巻き込まれるトラブル ~ 交通事故 ~

 
平成26年に全国で発生した交通事故は約57万件。交通安全に向けた取組みの成果で交通事故件数は毎年減少していますが、それでも毎年、数十万人を超える人が、加害者として、あるいは被害者として、交通事故に遭っていることになります。
そして、交通事故に遭うと避けて通ることができないのは、損害賠償の問題。治療費、休業損害、慰謝料、後遺症・・・それまで、トラブルや法律とは無縁で過ごしていた人が、否応なしにトラブルに巻き込まれてしまいます。
その賠償額も、死亡事故のような重大事故の場合には数千万円を超えるケースは珍しくありません。交通事故は、弁護士に相談することで適切な解決を図ることができる典型的なトラブルの1つです。
 

(2)過失割合 ~ 損害を公平に分担すること ~

 
交通事故の多くは、双方の不注意によって起きています。双方の不注意で起きているため、交通事故によって発生した損害についても、それぞれの不注意の程度に応じて分担して負担することが公平でしょう。これが「過失割合」と呼ばれるものです。
交通事故は発生件数が多いため、交通事故を巡る裁判も相当数にのぼります。そのため、例えば、「交差点で左折しようとした車が後続のバイクを巻き込んでしまった場合」などのように、それぞれの交通事故は、ある程度類型化され、過失割合も類型化されています。
もっとも、自分の遭った事故について、過失割合が「8:2」が適切なのか、それとも「6:4」が適切なのかを適切に判断できる人は少ないでしょう。保険会 社が提示する過失割合が適切かどうか判断に迷う人も少なくありません。また、すべての交通事故の過失割合が類型化されているわけでもありません。
 

(3)治療費、休業損害、慰謝料、後遺症、逸失利益 ~ 何を請求できるのか? ~

 
交通事故に遭ったために、担当していた会社の商談に遅刻してしまい、商談は破談。責任を問われて会社を辞めざるをえなくなり、失業。失業が原因で、家庭内 の関係が険悪となり・・・少し大げさなたとえですが、「あのとき交通事故に遭いさえしなければ・・・」ということをすべて加害者に対して請求できるわけで はありません。すべてを請求することができないということは、どこかで線引きをされてしまうわけです。
もっとも、交通事故によって被った自分の損害のうち、何をどれだけ請求できるのか(あるいは、加害者として、何をどれだけ支払わなければならないのか)、どこで線引きされる
のかの判断に迷うことも少なくないでしょう。また、自分の被った損害を請求するために、どんな資料を集めればいいのか分からない人もいます。
「どのような損害を請求することができるのか」、「損害を請求するためにどのような資料を集めればいいのか」、「保険会社が提示する金額が適切なものなのか」などの損害に関する問題も、弁護士の助言を受けることにより、適切な判断をすることができます。
 

(4)被害者なのに保険会社が動いてくれない? ~ 弁護士保険 ~

 
自動車を運転している人は、全員、いわゆる自賠責保険に加入しなければいけません。また、自賠責保険では、損害賠償責任を全額カバーできるわけではないため、さらに任意保険に加入している人も多いでしょう。
もっ とも、これらの保険は、「責任賠償保険」と呼ばれるものであり、「自分が加害者であった場合に備えた保険」のため、自分が加害者になったときには、自分が 加入している任意保険の担当者が動いてくれますが、自分が被害者になったときは、保険会社は動いてくれませんし、弁護士に依頼をする場合も、その費用はま ずは自分で負担しなければいけません。
そうしたときに力になってくれるのが、交通事故の任意保険等に特約としてつけられる「弁護士保険」 です。この保険に入っておけば、自分が被害者になったときにも、弁護士費用の一部を保険で賄うことができます。「弁護士保険」は、多くの保険会社で商品化 されており、交通事故以外にも使うことができることがありますから、事故に遭ったときには、一度、自分や家族の保険を確認してみて下さい。